BLUE SKYの神様へ〜心の内の想い〜
「すみません・・・・・て、手伝わせてしまって・・・」
「いや。どうせ医療班の方向に用事があったし」
わ、私は今医療班の荷物を届けるために向かっているのですが。
お、驚きです。
レインさんと一緒に歩いています。
荷物を持ってもらって、しかも話をしながら・・・。
「大丈夫か?」
「はい・・・?」
「顔赤いから」
「だ!大丈夫です。すみません・・・」
「いや。謝んなくても・・・」
「すみません・・・」
沈黙が流れて・・・。
ど、どうしよう。
話をしなきゃ・・。
話を・・・。
「小春ってさ」
「はっはい!」
私は驚いて返事をしました。
「小春っていつからここに居るんだ?」
「はい?」
「ああ・・・。いつからインペリアに居るんだ?」
「ぁ・・・・っと・・
は、八歳の頃に、拾われたんです」
「拾われた?」
「はい・・・。
捨てられたんです。
私、特殊能力がありますから・・・。
二人は私のことを化け物といっていました」
「・・・・・・・」
私、モジモジしないで・・・ちゃんとしゃべらなきゃ・・・。
私はつぶされそうな胸を押さえながら話を続けました。
「というか、私、ここに来るまで名前がなかったんです」
「ひどいな・・・・」
「え?」
「少し周りの者より違う力があるからって何が悪い」
「で、でもここに来てから小春という名前をいただきましたから・・・。それに、皆さん私を人として見てくださいますし・・・」
「当然だ!小春は人だ!」
「ぁ・・・・・はい」
私はレインさんの言葉に顔が熱くなるのを感じました。
「あ・・・・あの」
「何だ?」
「レインさんは何でシルメリアに?」
「俺は旅をしていて・・・・・。
いや、気づいたら来ていたと言っておく」
「・・・・・・はい」
ついレインさんの顔を見つめてしまいます。
なんて真っすぐな瞳。
見つめていると吸い込まれそうです。
胸がドキドキします。
どうしよう・・・・・。
こんな気持ち初めて・・・・・・。
私は人とは違うと思っていたから。
でも、今は・・・・・・。
あなたへの想いで潰されそうになる。
これが恋?
『コスモスちゃん。恋って何?』
『何?小春ちゃん、急にそんな恋なんて』
『ん・・・・・。
分かんない』
『いいよ、コスモスが教えてあげる。
恋は急に来るの!
ズバーンって!』
『ズ、ズバーン?』
『そうズバーンって!
そしたら急に胸が熱いような、苦しいような、痛いような感じになるの。
その人しか見えなくなるの』
『その人しか・・・・・?』
『そう』
コスモスちゃん。
今なら分かる。
だってこんなにも鼓動が早いもの。
胸がおかしいもの。
レインさん。
私はあなたに恋をしてしまったようです。
どうすれば、どうすればいいのでしょう。
私が人を好きになってもいいのでしょうか?
不思議な能力のせいで人として見てくれなかったお母さん。
私を獣のように捨てていったお父さん。
私は人として、人を好きになってよいのでしょうか?
「荷物はここでいいか?」
「え?はい!」
気がつくと私達は医療班の部屋の前に来ていました。
「すみません」
「いや、じゃ」
「・・・・・・・・」
レインさんはそう言って荷物を置き、私に背を向けました。
一歩ずつレインさんが歩き、私との距離を広げていきます。
レインさん・・・私苦しいです。
あなたを想えば、想うほど・・・・・・・。
実は知ってるんです。
レインさんが大切な人のために旅をしているんだって・・・・・・・。
見えたんです。
空色の髪に水色の瞳・・・・・・とってもきれいな人。
ですがこの想い止らないんです。
どうすればいいですか?
どうすれば・・・・・・。
「あ、あの!」
「ん・・・・・?」
「ぁ・・・・・・ぇっと・・・・あ、ありがとうございました」
「ん。」
私の言葉にレインさんは少し手を上げ、返事をするとまた前を向いて歩いていかれました。
レインさん。
分かっています。
あなたの想いはあの人のものだと・・・・・。
だから、この想いは伝えません。
ですから・・・・・ですからもう少しあなたを見ていていいですか?
もう少し想っていていいですか?
この心の内の想いを・・・捨てずに。
人として、小春という人として・・・・・・。
++あとがき++
はい。
今回は小春の視点から見た内容でしたが・・・どうでしょう?
切ない!!
何か小春の切ない恋心がもう・・・(泣)
レインに心を寄せるのに、レインにはもう想いを抱く人がいる。
は〜切ない・・・・。
この内容は戦争が始まる前夜の話です。
戦争条約のすぐ後になりますから、小春もレインと一緒にシラのビジョンを見ています。
だから小春は自分の想いをレインには打ち明かすことを止め、戦争で無事に帰ってくることを祈るのです。
小春の心は澄み切ってるな〜
誰かさんとは違って(自分のこと)