BLUE SKYの神様へ〜全てを破壊尽くす者〜
作戦・・・・・・。
それは俺にとって絶好のチャンスだった。
戦闘が始まったらルイ、オギロッド、スグローグ、ダングそして俺は丘の反対側に移り、軍隊から見えないように移動し、上神のいるテントへと向かう。
『そこで上神を見つけ次第突入し、殺す』
オギロッドの言葉にあの時は驚いた。
こんな簡単な作戦でいけるのかと・・・・・・。
でも、『青き獅子』の作戦だ、メリットは大きかった。
上手くいけば今日にでも戦争が終わる。
俺たちは自分の乗っていたドラゴンをビルの廃墟に残し、テントまであと少しの距離に来ていた。
辺りは戦場に行かなかった軍人がゴロゴロいる。
俺たちは急な丘の上に寝そべり、下を見下ろした。
「ふん、気楽なやつらだ、戦場では自分の仲間が死んでいるというのに、政治の話で笑ってやがる」
ルイが激怒した。
「仕方あるまい、軍人の定めよ」
オギロッドが言う。
「戦場で生きて、政治で生きて、仲間を蹴落とす」
「・・・・・・・」
オギロッドは暗い表情をしていた。
「上神は中か?」
スグローグが唸った。
「たぶんな」
その横のダングが目を光らせながら言った。
「現れたとしても、誰なのかわからない。
顔が分からなくては・・・・・・」
「それなら問題ない」
オギロッドの心配を俺は否定した。
「なぜ?」
「それは・・・・・・」
俺は下を見ながら言葉に詰まった。
「・・・・・・!!」
俺は身を乗り出し、右目を見開いた。
「いた!!!」
そう、テントから出てきたのだ。
上神が!
「誰だ?」
オギロッドが俺の声にいち早く反応した。
「・・・・・・・・・」
俺は刀の柄を握るコブシを強めた。
天界軍・・・最高司令官・・・・。
「ダーバラ・・・・・・」
「何!ダーバラだと!」
ルイが叫んだと同時に俺は立ち上がり、丘を下っていた。
「レイン!待て!」
オギロッドの忠告も聞かず、俺は刀を抜き、軍人の中へ突っ込んだ。
ダーバラは俺の存在に気付いておらず、ドラゴンに乗り、走りだした。
「クソ!」
俺は何が起こったのか分からないままどよめく軍人の間を風のようにすり抜け、走り去るダーバラを追う。
もう少しで・・・・・・・。
と、そこに急に刃物が振り下ろされた。
俺はとっさに避け、刃物を刀で弾いた。
ダーバラは振り返ることなく、平原を進んでいく。
「クソッ」
俺は目の前にいる敵を見た。
長い柄の先についている刃物・・・長刀!
そいつは、黒の軍服を着ている。
赤い髪を後ろでゆるく編みこみ、腰の長さまで伸ばしている。
黒の軍服に合わない仮面を付け、低い姿勢で構えている。
俺は、刀を構え、体勢を整える。
バゴーン!
ものすごい爆発音と爆風で、辺りは騒然となる。
テントは吹っ飛び、軍人が騒いでいる。
俺は体勢を保つ。
分かりきっている事。
オギロッド達の仕業だ!
相手も怯むことなく構えている。
急にむこうから仕掛けてきた。
俺は降りかかってきた刀を弾く。
「・・・・・・・っ」
俺はすかさず刀を降った。
キーンッ
刀は急激に音を出した。
弾かれた!!!
俺は体を一回転させ、左足で蹴りを入れた。
バシッ!
「!!」
蹴りもかわされた!
急に右頬から激痛が伝わる。
俺は一端そいつから離れ、頬を触った。
血が涙のように筋になって流れる。
「はあ・・・・・・はあ・・・」
俺の攻撃がここまですんなりかわされるなんて・・・・・・。
そいつは俺の方に走ってきて、足元を狙った。
俺は急な反撃に、動きが鈍くなり、長刀の柄の部分につまずき、倒れた。
次に振り下ろされた刃先を刀で防ぎ、体を起こした。
が、目の前に刃が向き首元で止まったため、俺は動くのを止めた。
「・・・・・・・お前」
俺の言葉に仮面のそいつは淡々と言った。
「我が名はデストロイ。
全てを破壊尽くす闇の者なり」
「・・・・・・・デストロイ」
デストロイは長刀をしっかりと握り、間を作った。
風が吹き、俺の髪とデストロイの髪がなびく。
そして、長刀は一端離れ、また俺の方に近づいてくる。
素早く振り下ろされる長刀を見ながら、俺は左目を開けた。